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技術情報 技術説明

技術情報

衝撃靭性(Impact Toughness)

押込み試験と衝撃靭性の関係
衝撃靭性は動的荷重で破壊に対する材料の抵抗性を表し、押込み試験は衝撃靭性と関連しています。
押込み試験で衝撃靭性を直接測定することはありませんが、押込み過程で発生する条件が衝撃荷重と類似しており、間接的に評価することができます。
1応力およびひずみの反応

衝撃靭性は動的荷重で破壊に対する材料の抵抗性を表し、押込み試験は衝撃靭性と関連しています。
押込み試験で衝撃靭性を直接測定することはありませんが、押込み過程で発生する条件が衝撃荷重と類似しており、間接的に評価することができます。

急峻な傾きは塑性変形抵抗性が高く、衝撃靭性が低く脆性破壊の可能性が高いことを示します。

緩やかな傾きは塑性変形を通じてより多くのエネルギーを吸収し、高い衝撃靭性を示します。

2エネルギー散逸および塑性域の形成

押込み部位の塑性域は衝撃靭性と密接な関係があります。塑性変形過程でエネルギーを効率的に散逸する材料は高い衝撃靭性を示し、これは材料の変形能力と密接に関連します。押込み試験中に発生した塑性域の大きさから衝撃エネルギー吸収能力を推定できます。押込み中に発生するエネルギーは弾性および塑性変形を通じて蓄積・散逸され、破損せずにエネルギーを吸収できる材料は衝撃靭性が高いです。

図1. 押込み試験中の弾性および塑性仕事の概念
図1. 押込み試験中の弾性および塑性仕事の概念
3硬さと靭性の関係

硬さと靭性は密接な相関関係があり、硬さが高い材料は一般的に衝撃靭性が低いです。
マイヤー指数は硬さと変形硬化特性を示す指標で、材料の衝撃荷重時のエネルギー吸収能力を評価できます。

高いマイヤー指数は変形硬化により材料内の転位密度が増加し延性が低下し、結果的に衝撃靭性が低下します。

適度なマイヤー指数は変形抵抗性と延性のバランスを提供し、衝撃靭性を高めます。

図2. マイヤー指数を通じる延性及び脆性区分
図2. マイヤー指数を通じる延性及び脆性区分
衝撃靭性の評価
マイヤー指数を基準に延性及び脆性を区分し、数学的関数を用いて衝撃靭性を詳細に評価します。この関数は押込み試験で求める押込み荷重勾配(p)、材料パラメータ(A)、マイヤー指数(m)、押込み仕事(W)などを含み、衝撃靭性の予測に使用されます。IIT試験で得られた衝撃靭性値はCVN試験結果と比較して20%以内の誤差範囲で高い相関性を示します。これによりIITは原子力分野などで衝撃靭性を信頼性高く評価できる方法として注目されています。
図3. CVNとIITの衝撃靭性比較
図3. CVNとIITの衝撃靭性比較
温度変化と延性-脆性遷移
材料の衝撃靭性は温度変化によって大きく変化します。温度が低いほど材料は延性から脆性へと転移し、これを延性-脆性遷移といいます。
低温環境で押込み試験を行いマイヤー指数を算出することで、温度変化による衝撃靭性の変化を定量的に評価できます。
図4. 低温押込みチャンバーシステムの仕様
図4. 低温押込みチャンバーシステムの仕様
図5. 延性-脆性遷移でマイヤー指数の役割
図5. 延性-脆性遷移でマイヤー指数の役割